マダムNの神秘主義的エッセー

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101 香港問題と中共の闇の深さ、そしてブラヴァツキー夫人の心臓に関する注目すべき美しい文章

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StockSnapによるPixabayからの画像

 

メディカル・ジェノサイド

香港問題には、香港市民 vs 中国共産党ではなく、習近平 vs 江沢民派という構図が潜んでいるといわれる。

江沢民派といえば、江沢民派による法輪功弾圧の実態、及びその弾圧が臓器ビジネスへとつながっていること――総合してメディカル・ジェノサイドというようだ――を知ったときの驚きを思い出す。

法輪功学習者の他に、チベット人ウイグル人、地下教会信者などが本人の意思に反して「ドナー」とされた人々だと考えられている。*1

儲けるために、また臓器ビジネスを支える病院、スタッフなどにかかる経費のためにも、臓器移植をどんどんしなければならないそうで、それには臓器がいくらあっても足りないらしい。

日本人がお得意さまだという記事を何本も閲覧した。臓器移植のためのとても立派な病院が中国には何軒もあるようだ。3年前のテービッド・マタス氏の報告は具体的である。*2

そして、大規模なウィグル人の拘束とハイテクを駆使した管理、ウィグル自治区カシュガル空港に出現した臓器専用のグリーン通路(「特殊旅客、人体器官運輸通道」と簡体字アラビア文字で記されている)……もうこれはすっかり有名である。

「ドナー」は臓器の鮮度を保つために、生きながら臓器を抜き取られているという話もある。

こうした情報は以前は作り話とされていた時期すらあったが、現在ではそうではない。多くの情報が発信されている。

メディカル・ジェノサイドを阻止しようとする世界的な動き

一方では、メディカル・ジェノサイドを阻止しようとする世界的な動きも加速しており、アメリカがようやく関与し始めた。*3日本でも、具体的な動きが出始めた。

山田宏参議院議員自民党)は2019年11月7日、国会で初めて(参議院外交防衛委員会」)、中国臓器強制摘出問題について質疑を行った。*4

https://youtu.be/EhOCYOr-Of4

また、2019年12月23日には、安倍首相が習近平国家主席との会談で、「香港について「自由で開かれた」場所であり続けるべき」との見解を示し、「新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)における人権問題にも言及し、中国政府が透明性をもった説明をすることを望む」と述べた。*5

臓器移植は唯物主義の観点から進められてきたものだ。

渾身のルポ、城山英巳『中国臓器市場』(新潮社、2008)は日本人ブローカーとの出会いの話から始まる。2005年12月の話である。

脳死移植はキリスト教社会で発達したもので、儒教的考えの残る中国では日本と同じように両親から授かった自分の体を完全な状態で火葬したいという伝統的価値観が浸透しているため、臓器提供に積極的でないとある。

それなのになぜ、中国はアメリカに次ぐ移植大国となったのか。2020年には中国が世界一の臓器移植大国になるそうである。2017年における中国人体臓器提供・移植委員会の黄潔夫委員長のコメントを聴こう。

中国には現在、1900人あまりの臓器提供・移植コーディネーターがおり、近く5千人にまで増やす計画だ。現在、臓器移植手術を実施している病院は173軒あるが、年内に200軒、2020年までに300軒まで増やすことを目指している。*6

中共の臓器移植がどのような目的で始まったかといえば、中国高官が憧れた「延命」や「若返り」のためだったという。本当にこの世しか眼中にない人々なのだと戦慄させられる。

不老長生・現世利益は中国の伝統的な価値観のようだが、それが唯物論と結びつくと、ここまでグロテスクになるということなのか……。人食い人種、吸血鬼を連想してしまう。彼らは生きているうちから既に、カーマルーパのようだ。死後の人間がデヴァチャン(天国)に入るときに脱ぎ捨てていく魂殻を、カーマ・ルーパという。 

わが国の臓器移植

日本では、臓器移植法の改正後は家族の承諾だけで臓器提供が可能になり、15歳未満の者からの脳死下での臓器提供が可能になっている。

2009年の法改正により、2010年1月17日からは、臓器を提供する意思表示に併せて、親族に対し臓器を優先的に提供する意思を書面により表示できることになった。また2010年7月17日からは、本人の臓器提供の意思が不明な場合にも、家族の承諾があれば臓器提供が可能となった。これにより15歳未満の者からの脳死下での臓器提供も可能になった。*7

2009年改正の経緯を見ると、衆議院での審議において、ABCD案のうちA案が可決されたのだが、意外なことに共産党が審議不十分として全員棄権し、自民党議員を中心にA案賛成者が多く、賛成263人・反対167人でA案が可決され、衆議院を通過している。

戦後、日本人が如何に唯物主義的になってしまっているかがわかる。

尤も、衆議院での審議については「2009年5月に世界保健機関(WHO)総会において、臓器不正売買を目的に、移植ツーリズムの原則禁止や、生体移植、組織移植をめぐるガイドラインを決議する見込みになったことから、2009年になって、改正の機運が出てきている」とあるから、自民党議員には臓器移植希望者が移植ツーリズムへ流れることを防ぐために、国内での臓器移植の機会を高めたいという思惑があったのかもしれない。

いずれにしても、現行法では脳死判定が行われて死が確定する。しかし、そもそも脳死判定で本当に人の死を確定できるのだろうか。

小松美彦・市野川容孝、田中智彦編『いのちの選択――今、考えたい脳死・臓器移植(岩波ブックレット782)』(岩波書店、2010)を読むと、脳死移植に疑問が湧く。

脳死者から臓器を切り出すときには、麻酔や筋肉弛緩剤が投与されるそうだ。「脳死者に深くメスを入れただけで、脈拍や血圧が急上昇するばかりか、暴れ出して摘出手術どころではなくなってしまうからです」*8とある。

ずいぶん活発な死体ではないか。科学に不案内な人間は、驚かされることばかりだ。次のようなニュース記事も見つけた。

人は心臓が止まった後、3〜5分は脳が活動しており、血流が再び流れれば蘇生できる可能性がある、ということが、最新の調査で明らかになった。(略)英紙エクスプレスによるとドライヤー博士は、この脳波が通常の脳波計では記録されないと述べているという。また、アナルズ・オブ・ニューロロジーの論文によると、現在は臓器移植のために臓器が取り出されるのは心肺機能が停止して死亡が宣告されから2〜10分後だ。しかし今回の調査結果から判断すると、この時点では脳に血流が戻ればその人は蘇生できる可能性が残っているということになる。*9

現在、日本では全ての臓器移植に保険が適用されるようになった。また、やむを得ないものと判断された海外での渡航移植について、海外療養費の支給が認められるようになった。*10日本はこのまま臓器移植の道を突っ走ってもいいのだろうか。

ブラヴァツキー夫人の心臓に関する文章

こうした分野においては、だまされたと思って、神秘主義者の言い分も聴いていただきたい。極めて限定的な唯物主義的観点では、重大な見落としのある可能性がある。

近代神智学運動の母ブラヴァツキー夫人は、心臓に最後に死ぬ一点があると書いており、ヨギが土中に埋められ肉体のすべての部分が死んでしまっても、この点が生きている限り、復活することができるという。

心肺の停止が先か、脳の活動の停止が先か……いずれにしても、最後に死ぬ一点が生きている限りは、ブラヴァツキー夫人の説に従えば、死んだように見えていたとしても、それは死ではないということになる。

ブラヴァツキー夫人のような日本でいえば江戸末期に生まれ明治時代に亡くなった人の説を持ってくるまでもなく、現代科学においてもあまりに不確かな「死」。臓器の必要に駆られて死んだかどうかわからないものを死と決めつけなければならないとしたら、これほど非科学的な話もないだろう。

前述した心臓に関するブラヴァツキー夫人の論文を、わたしは1995年3月1日発行の竜王会の機関誌「至上我の光」(490号)の10頁に掲載された田中恵美子訳「七本質と内臓諸器官との対応(3)心臓(つゞき)」で読んだ。

ブラヴァツキー文集第12巻(H. P. Blavatsky Collected Writings Vol.12(1889-1890))所収の論文で、1888年に秘教部門を設立したブラヴァツキー夫人がその秘教部門で教えたものだった。現在は Blavatsky Study Center で一般にオンライン公開されている。

田中先生亡き後、竜王会、神智学協会ニッポン・ロッジには幸いなことに、優秀な翻訳家が沢山いらっしゃる。日本語の神智学用語は田中先生とジェフ・クラークさんによって確立されたといってよく、クラークさんの他にも忠源さん、老松克博さん、星野未来さん・・・・・・といった方々が頑張ってくださっている。

ブラヴァツキー文集12巻はすばらしい内容なので、どなたか訳してくださらないか待っている。そのうち邦訳版が出ることを期待しつつ、心臓に関する文章のうちの一部分を英語が苦手な拙訳で紹介しておく。まだしもGoogle先生の訳のほうがましかもしれない。原文に当たっていただきたい。

メディカル・ジェノサイドとの関連から心臓に関する記述の一部分を紹介するにとどめるが、教えの神秘性と奥深さは全内臓諸器官にわたっている。

人間の尊厳が今日ほど愚弄され軽んじられたことはなかった。中共は「ドナー」を飼っている。金儲けと若返りのために。少数の勇敢な人々と利用者を除けば、かれこれ10年以上も世界は鈍感な振りをしてきたか、本当に鈍感かのどちらかだった。

もし、中共のメディカル・ジェノサイドが拡大し続ければ、人類が被る被害は取り返しのつかないレベルのものとなり、次に引用するような秘教科学の教えを伝えることも難しくなっていくだろう。

そのような暗愚と無知と野蛮に人類が埋没してしまうことは、絶対にあってはならないことである。

THE HEAT(心臓) 


(前略)心臓は肉体の王であり、その最も重要な器官である。たとえ頭が胴体から切断されたとしても、心臓は30分間脈動し続ける。脱脂綿にくるんで暖かな場所に置けば、脈動は数時間続く。 

心臓には最後に死ぬ点(spot)、小さな菫色の光で示される点がある。それは生命の座、全ての中心であり、ブラフマー(Brahmâ)である。胎児に生まれる最初の点、そして最後に死ぬ点である。トランス状態のヨギが埋められるとき、肉体の残りの部分が死んだとしても、この点は生きていて、これが生きている限り、ヨギは復活することができる。この点は潜在的にマインド、生命、エネルギー、そして意志を含んでいる。生きている間中、この点は虹色を放射し、燃え立つようで、オパールのような乳白色を放っている。 

脳は知的意識の中心であるが、心臓は霊的意識(Spiritual Consciousness)の中心である。 しかし、この霊的意識は、人がブッディ・マナス(Buddhi-Manas)*11と完全に一体化するまでは、その人に左右されることはありえず、そのエネルギーが管理されることもありえない。それまでは、可能な限り、霊的意識がその人を導く。すなわち、霊的意識がその人に届こうとし、低級意識に印象づけようとして骨を折る。それで、こうした骨折りは、その人が清浄となることによって助けられる。それゆえに、誤った行いに対する後悔の苦しみ、良心の呵責、悪に対する非難、善への衝動、といったものは頭からではなく、心臓から来る。心臓には唯一の顕現した神が御座[おわ]します。他の二柱は隠れている。つまり、アートマー・ブッディ・マナスの三位一体を表すのは、この顕現した神である。(後略)*12

*1:佐渡道世.21分で知る 恐るべき中国医療の真実「メディカル・ジェノサイド」.大紀元.2017-05-30,大紀元時報日本,https://www.epochtimes.jp/p/2017/05/27533-2.html,(参照 2019-12-22).

*2:デービッド・マタス.”中国での移植手術の濫用と日本との関わり 参議院議員会館での報告のための所見(改訂版)”(2016年12月14日版 日本語訳).ETAC.中国での移植手術の濫用と日本との関わり 2016年12月1日 – International Coalition to End Organ Pillaging in China,(参照 2019-12-22).

*3:佐渡道世.中国の臓器収奪問題、米政府が公式調査を=米政策提言組織.大紀元.2019-08-20,大紀元時報日本,https://www.epochtimes.jp/p/2019/08/46087.html,(参照 2019-12-22).

*4:佐渡道世.参議院委で中国人権問題を取り上げ 臓器収奪も.大紀元.2017-11-07,大紀元時報日本,https://www.epochtimes.jp/p/2019/11/48857.html,(参照 2019-12-22).

*5:安倍首相が訪中、習氏と会談 香港やウイグル問題に言及.AFP通信.2019-12-24,AFPBB Newshttps://www.afpbb.com/articles/-/3260897,(参照 2019-12-26).

*6:中国、2020年に世界一の臓器移植大国に―中国メディア.Record China.2017-08-09,人民網日本語版,https://www.recordchina.co.jp/b186821-s10-c30-d0035.html,(参照 2019-12-22).

*7:ウィキペディアの執筆者. “臓器の移植に関する法律”. ウィキペディア日本語版. 2019-07-10. https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E8%87%93%E5%99%A8%E3%81%AE%E7%A7%BB%E6%A4%8D%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B3%95%E5%BE%8B&oldid=73411888, (参照 2019-12-22).

*8:小松・市野,2010,p.15

*9:松丸さとみ.心肺停止後、5分は意識がある!? 最新の脳神経学で分かった「死」.Newsweek.2018-03-06,ニューズウィーク日本版,https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/03/5-40_2.php,(参照 2019-12-22).

*10:厚生労働省. “臓器移植に係る海外療養費の取扱いについて〔高齢者の医療の確保に関する法律〕平成29年12月22日”.厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/).https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc3091&dataType=1&pageNo=1, (参照 2020-03-03).

*11:ブッディ・マナスは高級自我、霊的魂、人間の輪廻する本質。H・P・ブラヴァツキー(田中恵美子訳)『神智学の鍵』(神智学協会ニッポン・ロッジ、1995改版)の「用語解説」61頁参照。

*12:Helena Petrovna Blavatsky.H. P. Blavatsky Collected Writings Vol.12(1889-1890)Online.Blavatsky Study Center,2019,Instruction No.V,p.694-695.EI : Instruction No. V- Blavatsky Collected Writings Vol. 12, (参照 2019-12-21).